すべり症・分離症とは|楽な寝方と治療法を解説

はじめまして!富山県富山市にあるトレーニングジムを併設した接骨院、「けんとれ接骨院」院長の山崎けんとです!

このけんとれ通信では、学校の部活やスポーツクラブで頻繁に運動する学生さんや、身体の不調に悩む大人の方に向けて、身体や症状に関する正しい知識と対処法についてお伝えしています。

この記事のまとめ

  • 分離症は、スポーツや日常生活で強い負荷がかかり過ぎた疲労骨折での亀裂が原因
  • 主な症状は長時間歩くと足に痛みやしびれがでる
  • コルセットを用いた保存療法で骨がくっつくのを待つ

すこし長い距離を歩いていると腰がツラくなって歩き続けることができない。しゃがんだり立ち止まったりして一度休むとまた歩けるようになるけど、それもまた長くは続かない。

このような症状でお悩みではないですか?

これらの症状は、「すべり症」「分離症」によって引き起こされている可能性あります。今回は、この「すべり症」「分離症」について症状や治療方法をご説明いたします。

すべり症・分離症とは

腰の痛みの写真

すべり症・分離症は脊椎(背骨)のトラブルによって引き起こされる症状です。ここでは背骨の構造と合わせて、すべり症・分離症がどのような原因で起きるのかをご説明します。

すべり症とは

脊椎(背骨)は24個の骨(椎骨)で形成されており、上から7個を頸椎、その下の12個を胸椎、さらにその下の5個を腰椎と言います。

これらの脊椎を構成する椎骨はきれいに積み重なっており、通常は簡単にずれることはありませんが、椎間関節や椎骨と椎骨の間にありクッションの役割を果たしている椎間板が変性することなどによって、椎骨の位置がずれてしまっている状態のことをすべり症と言います。

分離症とは

分離症とは疲労骨折の一種です。椎骨は椎体という椎骨前方の円柱状の部分と、椎弓という椎体の後ろからでているアーチ状の部分とで構成されています。

この椎弓の斜め後方部分は細く、衝撃に弱いため、スポーツや日常生活で強い負荷がかかり過ぎると疲労骨折を起こして亀裂が入り、それが進行することによって椎体と椎弓が分離してしまう状態が分離症です。

このように分離症が発端となって、分離した椎体がすべってずれてしまい、すべり症に移行するケースが多いため、分離すべり症と呼ばれることもよくあります。

すべり症も分離症も腰椎で生じる場合が多く、椎間関節や椎間板の変性によって起こるすべり症は腰椎の4番と5番の間、分離すべり症は腰椎5番と仙骨の間で生じるケースがよくあります。

すべり症・分離症が発生する原因

腰の痛みの写真

すべり症・分離症が発生する原因はいくつかあり、症状が発生しやすい人には共通点が見られます。

すべり症になりやすい人

椎間関節や椎間板が変性することによって生じるすべり症は、はっきりとした原因が分かっていませんが、多くは加齢にともなって関節、椎間板、靭帯などの腰椎を固定している組織がゆるみ、安定性を失って腰椎がずれてしまうことが原因と言われています。

腰椎の4番と5番に集中して発症するケースが多いですが、これは腰椎の4番と5番がちょうど背骨のS字カーブの頂点の部分にあたり、なおかつ腰椎は背骨の最下部なので上半身への体重の負荷が大きいため、前方に椎骨がずれるような力の影響を受けてしまうためです。

特に40代〜50代の中高年の女性が発症するケースが多く、これは一般的に男性に比べて女性の方が筋力が弱く、関節、椎間板、靭帯などの腰椎を固定している部分の組織が老化によって緩み、ずれやすくなってしまうためです。

分離症になりやすい人

分離症は、まだ骨が発達していない成長期において、体の前後屈や腰をひねる動作、ジャンプから着地などをくり返すスポーツの過度な練習が原因となって起こるケースが多いです。具体的な種目は野球、サッカー、バレーボール、柔道、ラグビー、ウエイトリフティングなどです。

発症は10〜15歳の男児に多く、一般人の約5%、スポーツ選手では約30%が分離症を発症していると言われています。

また、腰椎に負担のかかる動作や姿勢が原因なので、かがんで重たい物を持ち上げたり、長時間の車の運転、長時間の立ち仕ことなどを日常的にくり返している人も注意が必要です

すべり症・分離症とはどんな症状か

問診の写真

すべり症・分離症にはいくつかの症状があり、それらが別の病気を併発させているケースも多く見られます。

間欠跛行

すべり症は、長い距離を歩くと足に痛みやしびれが生じ、一度座ったり、しゃがんだりして休む、ということをくり返さないと長時間歩くことのできない間欠跛行(かんけつはこう)という症状が代表的な症状です。

脊柱管狭窄症

他にも尿の出が悪くなるなどの排尿障害が起きる場合もあり、どの症状も脊柱管狭窄症という病気と似ています。脊柱管とは背骨の中にある管のようなスペースで、脊髄から出ている神経の通り道のことです。

これが椎間板のずれによる突出などによって圧迫を受けて狭くなることで脊柱管狭窄症を引き起こしますが、まさにすべり症はこの病気を併発させているケースが多いです。

坐骨神経痛

分離症は、腰痛が主な症状で、特に背中を後ろに反らす動作や左右にひねる動作で腰痛が生じることが多いです。

また、お尻や太もも〜ふくらはぎにかけて痛みやしびれが生じる場合もあり、これは分離した部分が、腰〜太もも〜ふくらはぎ〜爪先に沿って通っている、体内で最も太く長い神経である坐骨神経を圧迫して、坐骨神経痛を併発させているケースです。

あまりにも痛みやしびれが鋭いと、長時間立ち続けていたり、逆に長時間座り続けていることが困難になることがあります。

すべり症・分離症での楽な寝方

すべり症・分離症などで腰に重荷を抱えている人は、寝るのにも一苦労という方もいらっしゃると思います。こちらでは楽に寝られる方法をご紹介します。

すべり症と分離症において、寝る時の姿勢で一番気をつけるべき点は、当たり前ではありますが「腰に負担をかけない」ということです。腰に負担をかける寝方とは、あお向けで足を伸ばして寝る姿勢です。

これは骨盤が引っ張られて腰とベット(布団)の間に隙間ができます。この隙間が腰には負担になります。また、うつ伏せも腰や首に負担をかけてしまうため、腰が悪い人は避けましょう。

では、どうすれば腰に負担のかからない寝方ができるかと言うと、あお向けで寝たい場合は膝の下にクッションや硬い枕などを置いて、あお向けのまま膝を立てた状態で寝る方法があります。こうすると骨盤が引っ張られることはなく、ベット(布団)と腰の間に隙間が生じないので、腰への負担が減ります。

または、横向きに寝て少し腰を丸めるのも骨盤が引っ張られることがないので楽になります。この場合も膝の間にクッションや硬い枕を挟んでも良いでしょう。

すべり症・分離症の治療方法

すべり症・分離症は基本的に手術をせずに保存療法で治療をします。

治療法1:コルセット

すべり症・分離症の症状による痛みが強い場合には、腰をある程度固定し、可動域を狭めて動作による負荷を回避するためにも、コルセットを着用することがまずは有効な手段です。一時的に動作を制限することにより安静にし、分離した骨が再び癒合するのを待ちます。

治療法2:ストレッチ

安静を続けて、発症初期の強い痛みが和らいだ感じがあれば、ストレッチによって体をケアしていきます。腰椎に負担がかかってしまうというのは、大体が背中の筋肉と股関節周りの筋肉が硬くなり動かなくなっていて、可動域が狭い腰椎を無理に動かして、体をひねったり、かがんだり、左右に倒していることが原因です。

背中の筋肉と、股関節の動きを邪魔しているお尻、太ももの前と裏の硬さをとるように伸ばすストレッチをしましょう。

治療法3:筋トレ

痛みが十分に引いてきたと感じたら、筋力トレーニングによって筋肉を鍛え、痛みの再発を予防しましょう。鍛える部分は体幹と呼ばれる上半身です。体幹の筋力を鍛えて上半身を安定させることによって、腰椎の不安定さを改善させます。

すべり症・分離症を防ぐためのトレーニング

こちらではすべり症・分離症に有効な以下のトレーニングをご紹介します。

  • クランチ
  • ヒップリフト
  • デッドバグ
  • ダイアゴナル

これらの体幹トレーニングは腰周りを鍛えることができるため、腰の痛みの予防やリハビリを行いたい方におすすめです。

クランチ

①仰向け
②両手は地面と平行に上げ、股関節と膝を90度
③息を吐きながら、背骨を上から一つずつはがしていくようにして持ち上げる
④息を吸いながら、ゆっくり降ろしていく

ヒップリフト

①仰向け
②膝を90度、膝と足幅はこぶし1つ分あける。
③息を吐きながらお尻を上げていき、膝から頭を一直線でキープ
④キープができたら、お尻を10回上げ下げする

デッドバグ

①仰向け
②手を天井に向かって伸ばし、股関節と膝を90度に上げる。
③お尻の穴を閉め、下腹を引き込んだまま、息を吐きながら対角の手足を伸ばしていく。
④下腹を引き込んだまま、息を吸いながら元の姿勢に戻る。
⑤反対側も同様にくり返す。
※下腹の引き込みと呼吸を意識!(伸ばすときに吐く)

ダイアゴナル

①四つん這い(手は肩の下、膝は腰の下)
②頭から腰が一直線になるように背骨をそろえる。(背中が反ったり、まるくなったりしないように!)
③お尻の穴を閉め、下腹を引き込んだまま、息を吸いながら対角の手足を伸ばしていく。
④息を吐きながら、肘と膝をへその下で合わせていく。(腰がねじれないように)
⑤吸いながら元の姿勢に戻り、動作を繰り返す。
※下腹の引き込みと呼吸を意識!(合わせるときに吐く)

筋トレをする場合は動作をゆっくりと、なるべく反動をつけずに行なうことを心がけてください。そして、筋トレを行なう前に必ずストレッチを行い、身体を十分に動かせる準備をしてください。

また、筋トレ中に少しでも痛みが生じた場合はすぐに中止し、しばらくはストレッチを重点的に行なって、柔軟性を養うところから少しずつ始めていきましょう。

注意:やってはいけない運動

基本的に、腰椎に負荷がかかって発症していることが多いのがすべり症と分離症です。腰椎に負担がかかる動作は体をひねる、前かがみになって重いものを持ち上げる、体を後ろに大きく伸ばすなどです。

これらの要素が多い激しいスポーツの練習などは症状が落ち着いて十分にリハビリに取り組んでから慎重に行なうようにしてください。前かがみになる時は膝を曲げて、背中をまっすぐ伸ばすような意識をすると腰への負担が和らぎます。

体をひねる必要がある時も、上半身だけひねるのではなく、足を動かして体全体で方向を変えるようにしてください。治療の一環で行なう筋トレも決して反動をつけるような大きな動きではなく、ゆっくりと行なうことが重要です。

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